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「この世界の無属性の魔法というと『念話』か『転移』というのが一般的な常識だ。
だけど、使える者が極端に少ないからあまり知られていないってだけでちゃんと防御魔法は存在してるんだ。
だから、攻撃魔法があったっていいだろ?」
そう言って、父さんは右手を水平になるように上げる。
「クリスタルファング」
父さんがその魔法を発動すると半透明で青白い色合いの太さ10cm程の肉食獣の牙を思わせる物体が同時に5つ父さんの掌から放たれ、歪な円を描くように稽古場の壁に深々と突き刺さった。
「クリスタルスピア」
続け様に父さんは魔法を発動する。
半透明の青白い色合いは同じだが、今度は小さめの槍のような物がさっきよりも早く打ち出され、クリアファングの作った歪な円の真ん中に突き刺さる。
「クリスタルハンマー」
更に魔法を放つ。
今度も色合い同じ、違うの形。
まるでハンマーの柄の部分が抜けてしまったような縦横1m、奥行き2m程の魔力の塊は壁に当たると先に刺さっていた2つの魔法を壁の中に根本まで突き刺し、縦横1mの四角い凹みを作った。
父さんはそれを見届けると右手を下ろして、俺の方に向き直って口を開いた。
「お前には先ずこの3つしかない無属性の攻撃魔法を覚えてもらう。
その後に無属性の身体強化だ。
魔法陣や魔法具は自分でやるか全部終わった後に聞いてくれ。
それとは別に魔法を覚える上で分からない事があったらちゃんと言えよ?
出来るだけ分かりやすく教えてやるからさ。
後、もう無理だと思ったら絶対に無理しないで休めよ。いいな?」
「はい!」
こうして、俺と父さんの特訓が始まっ――
「あっ、そうだ。特訓を始める前に1つだけお前に言っておかないといけないことが有ったんだった」
「えっ、なに?」
「マリーって実はお前の本当の妹じゃないんだよね」
「えっ?えぇぇえぇぇぇぇぇ!?」
俺の特訓は驚愕の真実を受け止める事から始まった。
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