はじめてのじっせん

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  「はァッ!」 投影したナイフを父さんに向けて投げ、そのナイフを追うように走る。 「昨日の投擲の方が速かったぞ?」 そう言って、父さんは飛んできたナイフを右手の人差し指と中指で挟んで止める。 「作戦だよ!」 俺は父さんとの距離が3m程になった所で無属性の身体強化を発動して、地面を蹴り、顔に向けて右手を突き出す。 「りァッ!」 「甘いな」 父さんは左手で俺の右手を受けるとそのまま俺の右手を握る。 ヤバい! 「フッ!」 「うわぁ!?」 父さんは短い気合いと共に俺を反対側に投げ飛ばした。 「この!」 悪態を吐きながら体制を整えて、そのまま魔法を発動する。 「クリスタルファング!」 青白い牙が父さんの周りに展開する。 「GO!」 俺の命令で全ての牙が父さんに襲いかかる。 しかし、父さんは自分の手足を魔力でコーティングして目の前の牙を殴って破壊して前に出ると元々父さんの居た位置に集まった牙を回し蹴りで全て破壊した。 「クリスタルハンマー!!」 青白い鎚を回し蹴りをした直後の父さんの頭上から落とす。 「ぜァッ!」 父さんは迫ってくる鎚を回し蹴りの勢いを殺さずに回し蹴りに使った右足をそのまま軸足へと移行させ、その右足でジャンプして左足で鎚の側面を蹴り、落下点をずらした。 「なっ……」 アクロバットな回避を見せられて、思わず動きを止めてしまった。 その隙を父さんが見逃す筈もなく、一瞬で距離を詰められて頭を軽くチョップされた。 「はい、終了」 「くそ……」 また負けた。
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