はじめてのじっせん

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特訓を終えて、部屋でちょっとした作業をした俺はベットで横になって、物思いに耽っていた。 特訓を始めて早2ヶ月が経った。 始めの2週間程で無属性の攻撃魔法と身体強化を取得した俺はその次の日から父さんと軽い模擬戦を繰り返し行なってきた。 そのかいあってか俺は無属性を使った戦闘にもかなり慣れてきた。 とはいえ、慣れてきたというだけで父さんに勝つことは一向に出来ないのだが……。 俺達が行なっている模擬戦の内容は自分の手で相手の頭に触れる事が出来れば勝ちというもの。 そのためであれば地形に影響を与えるような物以外どんな魔法も能力も使っていい事になっている。 しかし、父さんは身体強化と体の一部を魔力でコーティングするか小細工程度の能力を使ってくるだけの爪の先程度の実力しか出していないのにまるで歯がたたない。 まぁ、体格差なんかも原因としてあるにはあるのだろうけど、一番の原因はきっと実戦経験の差なんだと思う。 実戦経験が無くて特訓を始めて2ヶ月の俺とこの世界で10年近く最前線に居た父さんでは、歯がたたなくても仕方ないのかもしれない。 だけど……。 「それで納得出来る程、潔くないんだよね。俺って」 そう言って俺はベットから起きて、部屋にあるテーブルの上に乗っている物に目を向けた。
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