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「旦那様、今夜王都で開かれる国王様主催のパーティーにはご主席されるのですか?」
「あー、そういえば、アレ今日だったな。すっかり忘れてたよ」
昼食の席で料理を運んできた執事のリーガルさんが父さんにそう聞くと父さんは面倒な物を思い出したと言いたげに言った。
「行きたくはないけど、出ないわけにはいかないんだよな。立場上」
「…ジュン…そんな事…言っちゃダメ…」
頭の上で腕を組んで椅子に凭れながら愚痴る父さんを隣に座っている母さんが静かにたしなめる。
「分かってるよ。
だけど、国王様やソフィアやグレン達に会うだけならまだしも他のあまり関わりの無い貴族達の何の価値も無い自慢話合戦を聞かされると思うとそれだけで頭が痛くなるんだよ」
はぁ……とため息を吐いて父さんはこめかみを押さえた。
父さんがここまで言うって事は相当ななんだろうな。その貴族の自慢話ってのは。
「パパ、なんのおはなし?」
と、ここで俺の隣に座っているマリーが斜め前の父さんに問いかけた。
「あぁ、そうか。マリーとレイトはまだ行った事無かったな。
えっと、誕生日パーティーの凄い派手なやつに行くか行かないかって話だよ」
父さんの言った内容にマリーはキラキラと目を輝かした。
「それいきたい!」
輝かしい笑顔で言うマリーを見てリーガルさんは笑みを深くして父さんに言う。
「これは尚更行かなければ為らなくなりましたね。旦那様?」
「元から行く予定だっての」
父さんはリーガルさんの言葉に軽くため息を吐きながら、力無く答えた。
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