プロローグ

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優希達から逃げるように早足で学校までの道のりを進む俺だったが、結局二人に捕まり、三人で仲良く学校に向かう事になってしまった。 並び順は左手から優希、桜、俺となっている。 憂鬱で仕方がない。 この二人と歩いていると変に視線を集めて鬱陶しいのだ。 優希と桜に集まる好奇や羨望、僅かな嫉妬はまだいい。俺には関係ないし。 ただ、俺に対して遠慮なく浴びせられている激しい嫉妬や嫌悪、憎悪なんかの「なんであんな奴が」みたいな視線が嫌で仕方ない。 「ねぇ、零斗」 「あ?なに?」 いい加減走って逃げようかな?と思い始めた頃に隣を歩いている桜に声を掛けられ、逃げるに逃げれなくなってしまった。 そのせいか若干声に棘が出てしまったが、桜は特に気にした様子もなく、左手を自分の口元に添え、その辺りを右手の人差し指で指した。 どうやら、内緒話があるから耳を貸せという意味らしい。 今の状況でそれをやれと? もしかして、コイツも鈍感なのだろうか。 いや、これは天然か……。
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