プロローグ

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  「優希はもう少し考えて行動するべきだと私は思うな」 ムスッとした顔で、胸の前で腕を組みながら如何にも不機嫌そうな声で言う桜。 「考えて行動しろって言われても……。 じゃあ、桜はさっきの子助けない方が良かったと思ってるのか?」 そんな桜の隣を歩いている優希はムッとした顔になって桜に反論する。 「そんな事ない! 女の人1人に対して、男の人5人で乱暴しようとするなんて最低だと思うし、それを見つけたら助けるのが当たり前だよ! 問題はその後だよ!……またライバル増えちゃったよ……」 それに対して、勢いよく言い返す桜だったが、最後にライバルが増えたとかボソボソ言ってたけど、俺と同じように隣を歩いている優希には聞こえてないんだがら不思議だ。 「その後?あっ、もしかして助けた女の子の手を握った事?」 「そう、それだよ!」 「確かによく考えて行動するベキだったよ。 僕なんかにいきなり手を握られたら、そりゃ怒るよね」 そう言って、少し落ち込む優希。 「あ、やっぱり、そうだよね……。 優希はこういう人だったのほんの一瞬だけ忘れてた……」 優希の言葉にというより鈍感さに項垂れる桜。 まぁ、優希に女の子の気持ちを理解しろと遠回しに言っても伝わらなくて当たり前か。 「零斗、どうかした?」 俺が呆れ気味に優希を見ているとそれに気付いた優希が聞いてきた。 「何でもねぇよ」 俺のその答えに納得がいかなかったのか優希は首を僅かに傾げて怪訝そうな顔をしていた。 何で女の子からの好意には極めて鈍感のくせにこういう誤魔化しとか隠し事には敏感なんだろうな、アイツ。 あ、そうか。これが主人公補正ってやつか。 俺がそんな事をくだらない事を考えていると優希の足元と桜の足元の間くらいの場所で、何かが一瞬小さく光った。 「ん?」 「どうしたの?」 俺が突然立ち止まったのを見て、桜が立ち止まり、それにつられるように優希も立ち止まった。 「いや、今何か光ったような気がしてさ」 俺がそう言った直後、俺達の足元に直径2mくらいの白い魔法陣が現れた。
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