第2打席☆ミライゲーム☆

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●○●○●○●○●○●○●○●○ 夜のグラウンドを照らす公園のライトは、そんなに明るいものじゃない。 だけど、ちょっと身体を動かすには充分な明るさだ。 佑哉はその下のベンチでメールを打っているようだった。 めずらしい、とさつきは思った。 メールはおろか、電話すら面倒臭がってあまりしないのに。 なんだか声がかけずらくて、しばらく黙って金網越しにその横顔を見ていた。 やがて佑哉は、携帯をベンチに置いて、ため息をついた。 なんだか切ない。 こんな佑哉は見たくない……。 さつきがギュッと金網を握り締めると、わずかにギシッと軋んで、その音に佑哉は顔を上げた。 「……なんだ。本当に来たのか」 相変わらずの無表情……でもない。 少しだけ笑ったように見えた。 さつきはスタスタと、金網で出来た入り口をくぐる。 「……来ちゃいけない?」 「別に。どっちでも」 これは佑哉にしてはかなりの歓迎の台詞と言える。 長年の付き合いだ、それくらいは分かる。 それは分かるのに──。 (いったい何を迷っているの) その言葉が喉まで出かかる。 さつきは急にもどかしくなって、遠くを見ている佑哉の目の前に立った。 目の前をふと、さつきのスカートに遮られて佑哉は顔を上げる。 二人の視線が絡まり、薄暗いグラウンドが小さな世界に変わった。 「……今日、暑かったね」 口から出たのはそんな言葉。 でも佑哉はそれを聞くと、どこかに馳せていた心をさつきに戻したようだった。 「そうか? 今日は少し曇ってたし、まだ涼しかったと思うぞ。この程度の暑さでへばってたら、俺達なんか夏の大会どうすんだよ。吐きそうなくらい暑いんだぞ。グランドに陽炎も立つし、汗は目に入るし……」 野球の話になると、夢中で早口になる。 いつのまにかその顔から翳りは消え、目は輝いていた。 本当に佑哉は野球が好きなのだ。 「さつきって、普段太陽に当たってないんじゃないか? だからこの程度の日差しで……」 しゃべりすぎたと思ったのだろうか。 佑哉がハッと口をつぐみ、一緒に少年のようだった笑顔も消えた。 「わりい……。余計なお世話だよな……」 そしてまた、心はどこかに行ってしまう。 それを繋ぎとめたくて、さつきは慌てて明るい声を出した。
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