第2打席☆ミライゲーム☆

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「なぁによ、偉そうなこと言って。佑哉だって今日の放課後、へろへろ走ってたじゃない。暑さにやられたんじゃないのー? ちゃんと見てたんだからね」 「え……、お前、来てたのか?」 佑哉が驚いたようにさつきを見返す。 「まあねー。佑哉がサボってないか、確かめに行ったんだよー」 からかうように覗き込むと、佑哉はフイと目を逸らしたがその口元は笑っていた。 「そうか……、お前、学校来てたんだ。グラウンドに……」 佑哉が笑ってくれるのがこんなに嬉しい。 こんな風に時を過ごせば、いつか話してくれるだろうか。 誰にだって、考える時間は必要なはず。 (そうだよ……焦ることはないって昨日も思ったばかりじゃない) 「よし、キャッチボールしよう佑哉!」 さつきは勝手に佑哉のスポーツバッグを開けて、中から予備のグローブを取り出した。 「え、おい、ちょっと!」 戸惑う佑哉を無視して、いそいそとグローブをはめてグラウンドに出ると、少し距離を取って向かい合った。 数回ほど拳をグローブに叩きつけ、その感触を確かめた。 「うん。使い込まれたいいグローブ。予備とは言え、ちゃんと手入れもされてるね」 しぶしぶといった感じで自分もグローブをはめ、こちらに出てきた佑哉にさつきは軽く頭を下げた。 「お願いします」 「……しゃーっす」 条件反射のように佑哉もペコリと礼をする。 すると彼はもう二、三歩距離を縮めると、下からボールをへろっと投げた。 それは、ポテッとさつきのグローブに落ち、ボールを捕球した時の胸のすくような感覚は当然ない。 さつきはぷうっと頬を膨らませた。 「何それ! ちゃんと投げてよ。これじゃあ練習にならないじゃん」 ヒュッとさつきが返球する。 でも思ったほど飛距離がでない。 ボールはやっぱり、へろろと頼りない弧を描いて佑哉のグローブに収まった。 「……あれ?」 キャッチボールってこんなに難しいものだったっけ? なんだかボールがやけに重い。 さつきは小首を傾げて、自分の手をまじまじと見つめた。 「女相手に本気でキャッチボールなんてできるか。硬球は石と同じだぞ。怪我でもされたら大問題だ」
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