第2打席☆ミライゲーム☆

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佑哉がまた下からボールを放る。 こんなんじゃキャッチボールの意味がない。 「だってこれじゃ、遊びみたいじゃん」 ポンとまたさつきのグローブにボールが乗っかる。 「遊びだろ?」 バカにしたような笑いに、なんだか無性に腹が立つ。 さつきは、ふんっとお腹に力を入れて、思い切り返球してやった。 それを佑哉は、虫を横から捕まえるようにパシッとグローブで掴み、そのままポーンと上に放り投げた。 白いボールは佑哉の右手に、まるで導かれるように収まった。 「……女にしちゃ、上手いと思うよ」 渾身の返球を弄ばれて、そのボールさばきに見とれてしまった自分が悔しい。 「もういい! じゃあTバッティングしよう。後ろのネットに打ち込みなよ。あたしがトス上げるから」 さつきはグローブを外し、小走りにベンチに戻りかけた。 「バカ言うな、Tなんてできるか! 万が一、打球が当たったら怪我じゃすまないぞ!」 きっぱりとした言い方に、思わず足が止まる。 怒ったような顔の佑哉は、その意思を変える事はなさそうだ。 への字に口を曲げたまま、さつきは肩を落とした。 「……女の子ってつまんない……」 ガッカリを絵に描いたようなさつきの様子に、佑哉の難しい顔がほころんだ。 「じゃあ、スイング見てくれよ。さつきの目はけっこう適切だ。その方が練習になる」 フォローのつもりなのか、そんな風にさつきを少し持ち上げるような言い方をすると、佑哉はグローブを置いてバットを掲げた。 (……なんか佑哉、優しい……。こんな風に、あたしに気を使ってくれた事なんて今まであったっけ……) 「ついでにコースの指示も頼む。あ……えーとコースってのは……ま、それはいいや」 「わかった、振り分けるよ。はい、ピッチャーから目を切らないで!」 慌てて佑哉はバットを握りなおし、前方を見つめた。 「じゃあまず、インコース低め!」 ブン、と佑哉が低めにバットを回す。 「なんか動き固ーい。相変わらずインコース弱いね。インなんて思い切り引っ張ってファールにしちゃえばいいんだよ。じゃあ次、アウトの高め!」 今度はザッと踏み込んで高めを振る。 ヒュッといい音が鳴った。
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