第2打席☆ミライゲーム☆

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「──インの高め! ……アウトの中! ……アウトの低め!」 ヒュッ、ヒュッ、と指示通りの場所を的確に振る。 集中が高まってきているのが、さつきにも分かった。 「インの低め! ……ど真ん中っ!」 風を切る音と共に、キン!とボールを打つ音が聞こえたような気がした。 最後のど真ん中は、文句のない完璧なフォームだった。 「綺麗なスイング……」 思わずさつきは、そう声を洩らした。 「今の、柵越えだな」 グラウンドの向こうを遠く眺めている佑哉の背中も、満足そうに呟いた。 「うん……間違いないよ……」 さつきの同意を得て振り向いた佑哉は、子供のようにへへっと笑った。 こんな風に笑うのは久しぶりだ。 ただ野球が楽しくて白いボールを追いかけていた小学生の頃。 あの頃は、よくこんな風に笑っていた。 ……ピシッ! (あっ……!) 佑哉はベンチに掛けておいたタオルで簡単に汗を拭き、バッグからスポーツドリンクを取り出した。 「おい、これやるよ。さっき買ったばっかだからまだ冷たい……」 佑哉の手から差し出されたドリンクが、誰もいないグラウンドの空間にポツンと浮かび上がる。 「さつき……?」 二人きりだった世界に、なんの前触れもなく佑哉はひとり取り残されていた。
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