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「だからっ! なんでお前はいきなり来て、いきなりいなくなるんだ!」
「ごめんって言ってるじゃん! この前は急に気分が悪くなったんだもん。佑哉に気を使わせたくなかったのっ!」
二日ぶりにいつもの公園のグラウンドに現れたさつきを、佑哉は開口一番叱り飛ばした。
悪いとは思っていても、こうガミガミ言われるとそっぽを向きたくもなる。
さつきが口を尖らせて、ドスンとベンチに腰掛けると、佑哉は難しい顔で、さつきとは反対の向きに座った。
「なんだよ……。具合が悪いなら無理してここに来ることないだろ。……そういやあの日、やけに暑かったって言ってたもんな。お前、身体弱いのか? だから……」
「だから? 何?」
「いや……」
佑哉はそれ以上、怒らなかった。
さつきとしては、ちょっと拍子抜けだ。
口げんかなら受けて立つのに。
「とにかく、帰る時は一言そう言って行け。いきなり消えたら心配で、なんか落ち着かない」
最後の方の台詞は少し小さかった。
その言葉に特に意味はないと思う。
その証拠に、言った当の本人は、もういつもと同じ澄まし顔でバットのグリップを確かめている。
それなのに、その横顔にカアッと顔が熱くなるのはいったいどういう訳だろう。
心配?
落ち着かない?
たったそれだけの言葉に、深く意味を求めてしまうこの心理はいったい何?
(こんなのおかしい! ありえない! あたし、いったいどうしちゃったの?)
口をポカンと開けて佑哉を見上げていたさつきは、慌てて顔をそむけた。
「あー、あのさっ! 明日、東南が練習試合に来るんだって? すごいね、佑哉を見に来るんでしょ? アピールチャンスだね!」
何か他の話題を振ろうと、咄嗟に出たのがこれだった。
(しまった。これってけっこう微妙な話題。もうちょっと別の話にすれば良かった!)
思った通り、それを聞いて佑哉はちょっと顔を曇らせた。
「ふん。なんで俺が東南にアピールしなきゃなんないんだ。……全く、どいつもこいつも東南って聞いただけでしっぽ振りやがって」
(げ。やっぱりこの話題は失敗だった)
それにしても、ずいぶんな言い方ではないか。
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