第2打席☆ミライゲーム☆

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「しっぽ振る訳じゃないけど、東南だよ? この辺りの野球少年ならやっぱ憧れるとこじゃない。そこに推薦で入れるのに、何でそんな言い方するの」 佑哉はちょっと驚いたようにさつきを見て、ため息をついた。 「お前、どこでその話……。ホントに俺の事よく知ってるな。……それで? さつきも俺は東南に行ったほうがいいと思うわけ?」 「当たり前でしょ。あそこの野球部、実績はあるし、設備は整ってるし強いし、佑哉の実力なら絶対レギュラーにだって……」 「俺の意思は?」 「え?」 佑哉はベンチから立ち上がって、さつきを見下ろした。 「俺の意思は完全無視かよ」 「佑哉の……?」 戸惑うさつきを残し、佑哉はグラウンドに出ると軽く肩をまわした。 「……東南が嫌なわけじゃない。正直、魅力的ではある。ただ、俺にだって行きたい高校はあるんだ。それなのに、周りはみんな当たり前のように東南に行くって決め付けてる。それが気にいらねえ」 そう呟く背中は、怒っているというよりもなんだか寂しそうに見える。 「佑哉が行きたいとこって……聞いていい?」 あまり突っ込んだ聞き方はまずいかな、とは思った。 でも、普段あまり自分の事を話さない佑哉が、心を見せ始めている。 それを逃したくはなかった。 しばらく黙っていた佑哉が、夜空に答えた。 「……都立武山」 胸が、なぜかギュッと掴まれたように苦しくなった。 都立武山なんてごく普通の都立高だ。 当然、そんなに野球も強いわけじゃない。 佑哉の実力でそこじゃ、絶対もったいない。 そう思うのに、なぜかさつきの胸は熱く締め付けられる。 「……約束があるんだ」 夜空を見上げる佑哉が、なぜか小さい男の子に見えた。 ピシッ! (また……! いや……だ。せっかく佑哉が話してくれているのに……!) さつきを、またあの痛みが襲う。 頭が割れる。 息が詰まる。 そして、泣きたくなる。 さつきは震える手で胸元を押さえ、ベンチから立ち上がるとグラウンドを飛び出した。 「さつき? なんだよ、帰るのか? さつき!」 佑哉が呼ぶのが聞こえる。 でもダメ……! 帰らなきゃ……!
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