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「いいか佑哉。お前の実力は俺たちが一番よく知ってる。調子悪い時ぐらい誰でもあるよ。こういう時こそ、俺たちがお前をフォローしなきゃなんないんだ。この回からは何が何でもカバーする。だからお前は、今できることをやればいい」
「そうだよ、交代なんてありえない」
「俺、頑張りますから! だから竹本キャプテンには内緒に……」
「アホか、スコア見りゃバレるよ。それより、これから反撃すりゃいい! その記録が残ってれば殺されずに済むかもな!」
仲間達が佑哉のグローブに自分のグローブをタッチさせて、それぞれの位置に散ってゆく。
熱い。
両手が、頬が、そして胸が。
(全く……あいつの俺に対する過保護が、ここまでみんなに浸透してるとはな……)
佑哉から思わず笑みがこぼれた。
やっぱり、これだ。
俺がしたい野球は、これなんだ。
そして必要なものは……。
(バカヤロウ……。早く、戻って来いよ……!)
再びキャッチャーから、今度はやけに気合のこもった声が掛かる。
それに応える仲間達も、そして佑哉にも、もう迷いはなかった。
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