第3打席☆スイッチプレー☆

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初めて現実的に、自分の将来なんてものをぼんやりと考える受験生。 不安なんてみんな同じ。 正解なんてわからない。 そんな落ち着かない気持ちを、全部あいつのせいにした。 当たり前のように違う道を行けと言われて、寂しかっただけなのに。 その挙句、ひどい言葉で傷つけた。 いつでも自分の味方の、あいつに甘えて。 そして今また、自分を心配してくれる女の子を泣かせてしまった。 俺の手が無意識に、涙で潤んださつきの目元にのびる。 「……そんな事、わかってるよ。あいつと俺はもう十年も親友なんだから」 そっと指先で瞼を拭ってやると、胸の中が暖かくなって、穏やかに凪いでいくのがわかった。 泣き濡れた困惑顔で、自分を見つめるさつきはなんだか可愛い。 ホントは最初からそう思ってた。 あいつと同じように、こんな俺を心配して笑ったり怒ったり。 いつのまにか、こいつを待ってる自分がいる。 二人だけの公園のベンチ。 気がつくと、俺はさつきを自分の腕の中にギュッと押し込んでいた。 「わかってるけどさ……なんか素直になれないっていうか。約束忘れたのかよって聞くのもカッコ悪いし。正直、奴にそう言われた事で少し迷った自分もいて。でも……もう決めたよ」 さつきは何も言わず、じっと腕の中で話を聞いてくれている。 俺の頬をさつきの短めの髪がくすぐった。 「今日の試合の後、東南の監督にあの話は断ったんだ。俺は、俺の決めた奴とこれからもプレーする。……あいつがどうであっても、あの約束が……武山のグラウンドであいつと甲子園を目指す事が、俺の一番の望みなんだ。わかってくれるかなあいつ。この前の喧嘩の事も謝らなきゃ……」 俺はもう一度、さつきをきつく抱いて目を閉じた。
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