神の使いと堕ちた光

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「どうゆうことだ?」 男の眉が一瞬ピクリと動いた。少女の言ったことの何かが、気にくわなかったのだろう。 「解」 少女が呟くと同時に現れた鎖と魔法陣。鎖は少女の手足を捕らえ、床に繋ぎ止めており、同一の魔法陣が床と少女の体に刻まれている。 「おいおい、こいつはなんだよ」 男は驚きと呆れが入り交じった表情で少女に問いかける。だがその声には、わずかだが静かな怒りのようなものが含まれている。 「私を守るためと、大司教は言っていました。でも、本当は私を逃がさないためだと、私は考えています」 少女が動いても、鎖の音は鳴らない。触ろうとしても、透けてしまう。どうやら物質ではないようだ。だが鎖は少女をとらえている。 着けることはできても、外すことはできないようになっているようだ。確かにこれでは逃がさないためと考えるのも頷ける。 「この鎖は私を繋ぎ止め、魔法陣は私を死なないようにし、さらに逃がさないための結界となる」 少女の顔に変化はないが、その声にはわずかな悲しみが感じられる。幼い頃からずっとこんな監禁まがいなことをされていたのだから、それも当然だろう。 「お前はこのままでいいと思ってるのか?」 男は少女に問いかける。本当は関係ないはずなのに、だ。 「…………いいと思ってるはず、無いじゃないですか。私だって、ここから出たいとは思っています。でも、できないから、仕方ないんですっ」 少女は激昂し、嘆く。しかし、瞳は閉じたまま。だが、そこから零れ落ちる涙は、光に照らされキラキラと輝き、宝石のように美しい。 「なら、俺が助けてやろうか?」 それは堕天使の囁き。聞き入れれば光を裏切ることになる甘い罠。 だが、元から少女は、永遠に光であり続けようとは思っていない。何故なら、光であり続ける限り、少女はここから出られないのだから。 「お願いです、私をここから連れ出してください」 少女の声に表れているは、揺るがぬ決意。
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