神の使いと堕ちた光

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「了解したぜ、我が姫君。だが、まだ待ってもらえるか?さすがに今すぐには無理だ」 男の言葉に、少女は軽く落胆し、顔を僅かだがうつむけた。期待させておいてまだ無理だと言うのだから、それも仕方のないことだろう。 「はい……分かりました」 そう答えると、少女は今まで通りの無表情になった。 きっと、この顔でい続け、自らの感情を押し殺すことで、神の御遣いという自分を作っていたのだろう。 「そういえば、お前は何でずっと目を閉じてんだ?」 どんなことがあっても、今までずっと目を閉じていたことが、気になるのだろう。 「私の目は、見えない場所だけでなく、見たものの心まで見てしまいますから」 男はなぜか、なるほどというような納得した顔をした後、憂いを帯びたような表情をした。 「綺麗な色なのに、もったいねぇな」 そう言った声はあまりにも小さく、少女には届いていない。 だが、その表情からなにかを読み取ったようで、少女は男に問いかける。 「私、あなたにどこかで会いましたか?」 聞いた後に少女は不思議に思う。もし仮にあっていたとしても、少女は誰にもその目を見せていないのだ。 「あ、いや、……どこでもあってねぇよ」 珍しく男は歯切れが悪い。もしかしたら、なにかを隠しているのかもしれない。そう思った少女は、男にもわからないほど小さく目を開け、男を見た。 (言えねぇだろ、俺が天使だったときに会ってるなんてよ) 男の心を見て、少女は驚き、声をあげそうになったが、今声を出せば、男に心を見ていることがばれてしまう。 「まあ、気にすんな。それより、さっきの話だが、外に連れ出すのはまだ無理だが、連れ出せるまでは外の話をしてやるよ」 男はそう言って笑った。かつて一度会っていたとはいえ、堕天使にとっては、人間なんかどうでもいい存在のはずなのに、なぜこうも少女に手を貸すのだろうか。
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