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彼は、私に向かってにっこりと微笑むと、ほほを薄くを染めて言った。
「もちろん、多少は恥ずかしいさ。でも、全部本当のことだから」
もう、彼は私を美化しすぎなんだから。私にはそんなにいいところなんて無い。特に、彼の好きな私の目は、ただ、あらゆることに意味を見いだせなくて、死んだような目をしているだけなのに。
私は………恋人であるあなたにさえ、隠していることがあるのに……。
その時、一際大きな花火が上がった。私は、その美しい光に目を奪われた。その光は、私のすべてを照らしているようで、逆に、私の闇の部分に、暗い影を落とす。
ああ、この心の闇を、すべて吐き出してしまいたい。こんな闇ばかりの私では、あなたの隣にはいられない。でも、あなたに言ってしまえば、すべて壊れてしまう。あなたは正義で、私は悪。決して相容れることはない。どうすれば、堂々とあなたの隣にいられるのだろう。
私が考えていると、彼が私に話しかけてきた。
「また来年も、一緒に花火を見に来ようか」
彼の笑顔はとてもきれいで、私はさっきまで考えていたことを忘れて見とれてしまった。なんだ、もう答えは出ていたんだ──
「うん、絶対。約束だよ?」
私があまりにも必死な様子で言ったからか、彼はおかしそうに笑った。それにつられて、私も笑う。
──この幸せな日々を壊すくらいなら、いくら光で私の心が傷つき、悲鳴をあげても、私はこの闇を隠し続ける。
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