イケメンと中学生と

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ようやく発することができた言葉が、虚しくも宙に舞う。 ドハデ中学生は妙なセリフだけ吐き捨てると、オレのリアクションなんかお構いなしに、赤い風船を手にしたまま、さっさと歩いていきやがったからだ。 「ちょっ…!ちょっと待てテメェ!! 人を転ばせといて、意味不明なこと言って逃げんじゃねーよ!!」 オレは尻餅をついたまま、有らん限りの声で、ヤツを怒鳴りつけた。 オレの怒声に振り返ったドハデ中学生は、タレ目をめいっぱい見開いて またしても、意味不明なセリフを投げつけてきたんだ。 「えーなんで? そのまんまでいーの? 『イロ』無いまんまで?」
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