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「あら、ボンボンじゃない」
長男に会う方法について考えあぐねていると、後ろから声を掛けられた。
今このダンジョンに人なんていたっけ?と思いつつ振り返るとそこにはニスの側近のライナさんがいた。
「ど、どうしたんですか?いきなり」
てっきりニスと共にギルドへ向かったと思っていたからかなり焦った。
彼女の性格からしてないだろうとは思うが万一ニスに今の僕の行動を伝えられでもしたら、彼の怒りに触れかねない。
いつもは気まぐれなニスだが彼の想定に無い行動を奴隷が取って、もしそれが彼に不利益になるないしはなりかねないものだった場合、ニスは烈火のごとく怒り狂う。
今僕の目の前にいるライナさんなんかはそこらへん上手く切り抜けられるが、ニスの扱いになれていない僕やリーザさんはニスの怒りに触れた時点でお仕置きを覚悟しなければいけない。
全くつらい生活だよ。
まぁ、そんなことは今考えることではない。
目の前のライナさんに集中しよう。
僕の動揺した様子に何か感づいたのかライナさんは笑いながら、
「ニスさまったら急いで出て行っちゃたんだもの、ついていく暇なんてなかったわ」
と言った。
どうやらニスはリーザさんだけを連れて早々に出かけていってしまったらしい。
どうりでライナさんがここにいるようだ。
「それよりどうしたの?何か慌てているようだけど」
僕が一人で納得しているとライナさんがそう尋ねてきた。
確かに今の僕の行動は怪しまれても仕方ない。
ここは正直に話すべきだろう。
そう思い僕は自分の行動の理由を彼女に話した。
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