第2話 孤児院

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 立ち止まって休息することにより、荒れた呼吸は幾分落ち着く。  『俺』達は今、隠れながら巨人の行動を注視している。何かあったらまた逃げるために。    先程は距離が遠すぎたために巨人を影と表現したが、本当に奴は"影そのもの"であった。ただ、人のカタチをしていて、ひたすら大きいのみである。  その真っ黒な塊からは表情も何も窺い知ることはできなかった。  ただし、奴が纏っていた雰囲気こそが何もかもを表現していた。それも、黒という色の、負の側面のみを取り出して強調したようなもの。  巨人は石碑の前にたどり着いた。  そして、その足を止めた。  どうやら奴の見ていたものはこの石碑だったらしい。  暫くの間の、静止。  破裂しそうな程に激しく鼓動する『俺』達の心臓を除いて、あらゆるものの時間が完全に止まっていた。    再び動き出したのは、石碑から漏れ出る妖気が一層強くなった時のこと。  巨人はその巨大な拳を振り上げ、咆哮すると共に勢いを以て振り下ろす。  実に単純で簡潔な動作だった。その対象は石碑。  拳が石碑にぶつかる。石碑には大きなヒビが生じる。    その瞬間だった。  石碑からはどす黒い"何か"が溢れ出す。先程の妖気とは全くに性質を異にするものだった。  それは最初、巨人の咆哮に感じたものと同質のもの。
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