第2話 孤児院

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 はぁ…。あんな恐怖体験そうそうするもんじゃないよな…。  思い出したくなくても、気付けば脳裏で幾度と無く再生される惨劇。  あいつ、何がしたかったんだろ。  石碑を殴りつけて。なんか黒い気体を回収して。そして消え去った。    だいたい、あの黒いモヤモヤってなんなんだ?  そして、ネリーさん、彼女は何を知っている?  疑問は疑問を呼び、心は情報の洪水に溺れて行く、そんな気がした。  孤児院を巨人が荒らしたが、他の子供達は大人がきちんと退避させていたようで、全員無事だったらしい。  これから過ごす孤児院の仲間達、彼らが無事であったのは俺としても何よりである。  あれはおおよそ昼下がりの頃のことで、今は夕暮れ。  暫くは皆が暗い雰囲気だったが、荒らされた孤児院を元に戻す作業の中、体を使うことで気が紛れたらしい、今はだいぶん明るくなった。  日が沈んでしまったので、作業は中止、晩ご飯を食べることに。  皆が同じ大きな円卓に揃い、次々とそこに料理が運ばれる。  ここは全員で20人程の大所帯であり、その量も並外れていた。  席に着いてぼけっとしていた『俺』だったが、ある変化に気付いた。 「ねえねえナルゥ、あのひとだぁれ?」  『俺』が話しかけているのは、朝に見た栗色のショートカットの幼女、ナル。 「あのひと?えっとね、たまにきてるおじさ…」 「お兄さんだから。これでもまだまだ20代!」  ナルが何かを言いかけた時、知らない男性がサッとこちら側に近づき、ナルの口を大きな手で塞いでそう言った。 「俺の名はベネディクト=グリム。ここを手伝いに来てるんだ」  目の前の男性は、ちなみに年は27歳な、と後ろに付け加えた。
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