第3話 Dialogue

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「そうなってしまっては、貴方に"機会"を与えた意味が無くなってしまいます。新しい生活に触れて、過去への後悔が募ったのでしょう?」  そうだ、何かをする事も無く、ただ平々坦々に生きてきた。いや、日々に流されていたと言うべきか。今なら、思う存分に悔いることが出来る。 「だからこそです、貴方の出発点が特別に高い位置からではいけないのは」  神様は一呼吸分の間を置いて、更に続ける。 「無論、私以外の神には、転生者に何か特別なものを与える者も居ます。ですが、貴方にはそうあって欲しくないのです。私の想いは御理解いただけますか?」  やはり他の転生者との差は有るか。だけど、長いスパンで考えれば目先の力に拘るべきではない、のかな…。  俺は『やり直したい』と思った。その願いは、他力本願のままでは決して果たせないのだろう。 「はい、大丈夫です。話を聞いていて、だいぶ覚悟は固まりましたし」  俺は神様の目を見てしっかりと言葉を返す。微笑みを湛(たた)えている彼女は、それに対して頷きを以て答える。 「想いが伝わっているようで安心しました。それでは最後に少しだけお話をしましょう」 「他の神による転生もあり得ると先程に示しましたが、貴方にはそれを判別する能力を与えます」  んお?さっきと矛盾してる気が…。例外的な話かな。 「はい。というのも、この世界には数多の神が存在しますが、勿論、敵対勢力も居る訳です。私は貴方に仕事をしてもらう時に、それなしではどうしようもない場合がありますので…」 「敵神の転生者と戦う、等ですか?」
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