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「じゃ、『入って』って言ったら、入ってきてくださいね」
「はい」
どうやら、怒ってたわけじゃなかったみたい。
よかったぁ…。
私は廊下をぐるっと回ってみた。
歩いているときも思ったけど、この学校は本当に綺麗だ。
窓も割れてないし、どのドアも凹んでないし、落書きもないし、蛍光灯も壊れてない。
すごいよ。
こんな学校もあるんだね。
でもって、静かだねぇ。
青嵐だと、こうはいかないよ。
…あは。
なんか、懐かしくなっちゃった。
「入って」
一人、思いだし笑いをしていると、上野先生が私を呼んだ。
タイミングバッチリだね。
よし。
──ガラッ
そこには、確かに男子の方が多い生徒さんの顔が見えた。
恥ずかしかったので、足早に上野先生の隣までいった。
静かだ。
ちらっと先生を見ると、先生の目が自己紹介をしてと訴えていた。
「はじめまして。天川 鈴音です。よろしくお願いします」
にこっと笑って、軽く頭を下げた。
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