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そうこうしているうちに、目的地に到着。
「ここか?」
「そうだよ」
「…でっか」
私達は今、転校先の桜川学園高等学校の前にいます。
大きな校門、奥に見える綺麗な校舎。
以前いたあの学校とは大違い。
月とすっぽんだね、ほんと。
「…にしても、ここをアイツが経営しているなんて、いまだに信じられないんだよね、私」
「…あぁ、そうだな。でもまぁ、譲り受けたもんなんだろ?」
「そうだけどさぁ。世も末だよね~」
「そこまで言うか?」
2人でひとしきり笑うと、輝瑠は私に向き直った。
「じゃ、俺帰るわ。明日からはバイクで送ってやるから」
「いいって。輝瑠だって、学校があるでしょう?」
「あの学校は遅刻なんて気にするようなとこじゃねぇだろ?」
「ま、そうだね」
たった1ヶ月だけ通った、輝瑠たちの学校“青嵐(せいらん)高校”はびっくりするほどの不良学校。
無断遅刻や欠席はもちろん、みんな族に入ってるからケンカはあとをたたないし、授業だってまともに聞きはしない。
ね?
月とすっぽんでしょ?
でもね、わりと偏差値は高かったり、団結力があったりして、楽しい学校だった。
勢力争いも、私がいたときは少しおさまってたんだよなぁ。
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