第一話 ~新しいテガミバチ~

4/6
前へ
/32ページ
次へ
ズドン、と目の前に着地し、俺はザジを引っ張って後ろに飛ぶ。 「ニッチ!」 女の子が飛び出すと金の髪を硬質化した、そして鎧虫から飛んで来た爪を回避しながら弾き、タイミング良く飛んで来た少年を上に投げ飛ばす。 「うえだラグ!」 「ヌニ!」 口の大きい生き物が尻尾で鎧虫の弱点である関節のスキマを見つけ、少年が心弾銃を構えた。 「撃ち出す弾丸(たま)は…『こころ』の欠片… 心弾…装填…! 響け! 赤針!!」 少年の手に持つ心弾銃から放たれる心弾。そのまま鎧虫のスキマに当たり、鎧虫は崩れて行く。 「ぷはっ!…ひどい泥っ…に、ニッチ!ステーキ!?」 「ここだ「誰っ!?」 泥だらけになった女の子と生き物は合体している様な格好だった。 「倒せたのは上の方だけだったみたいだね…あとは逃げていった…のかな?」 少年はふぅ、と溜息を吐くと慌てて鞄を確認する。 「あー!?テガミが!?」 ◇ 「どういう事だい!?大事な孫からのテガミを泥だらけにして!冗談じゃないよ!」 「本当にすみません!」 「アンタよりとっくの先に到着して『テガミ』もこんな綺麗なまま届けてくれたマッケイ・ジーさんとはえらい違いだよ!」 すると家の中から風呂上りだと思われる褐色の男が出てくる。 「いやー、いいお湯でしたヨ」 「とにかくアンタ!「まぁまぁモリスさん」 すると少年の後ろから監視官のザジが二人に近づく。 「こちらお礼金とおわびの切手セットです、換金も出来ますよ。 申し訳ありませんでした、ご協力感謝します」 「おわび?」 「ちょっとその『テガミ』…いいですかね?」 と言いながらザジはテガミを一度受け取り、ジッと睨む。 「こいつを撃ってみな」 「え?」 少年は少し驚いた表情でザジを見る。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加