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「だって…リク…シルベット…その銃は…!?それはゴーシュの…」
「首都に渡る前に慎重したんだ~、ってゴーシュが言ってた、今は…琥珀も装備されてないシルベットのハッタリ護身用だ」
「そんな…ならゴーシュは今どこに…」
「…誰よりも職務に忠実だったゴーシュが『BEE』の仕事を捨てて四年半も経つ、何の頼りも無いし何の情報も無い、それはこの世界の隅々まで探した臨時特別調査員…この俺が言うんだ、間違いは無い、だから…俺もシルベットも…『希望』は捨てたんだ」
シルベットはラグに振り向き、普段通りの口調で言い放つ。
「兄は死んだの!思いでは大切にしているけど…リクの言うとおり、それが私達の結論よ」
「そんな…そんなのって…シルベット!
ゴーシュはきみのために…「自業自得です」…!?」
「私は兄さえいてくれれば何もいらなかった、なのにあの人は…首都勤務への野心からいつもボロボロになるまで……志願してまで困難な配達を請け負っていた…」
シルベットが言った所で俺はステーキを床に降ろし、ラグの頭をくしゃくしゃと撫でる。
「そろそろ郵便館に行く時間だ、もう帰るぞ」
「…ごめんねリク、あなたにつらい話しだったわね、ごめんなさい、会えて嬉しかったわラグ・シーイング、でも…
もう二度と来ないで下さいね」
ポロポロと涙を流すラグに背を向けたまま俺は少し俯いて帽子を深く被る。
「行くぞラグ」
「さようなら…シルベット…」
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