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密林に入った私がまず見たものは、槍を構え、こちらを威嚇して来る原住民の姿であった。
上半身裸に腰布を纏った彼らの姿はパプアニューギニアなどの少数部族に似ていて、ここが日本であることを錯覚させる。
そんな彼らに私は思いきって声をかけてみることにした。
「あ、あの……。」
その瞬間だった。
まるで動きが見えなかった。
気づいたら、私の喉元に槍が突き付けられていた。
「トチギ?ノントチギ?」
日本語ではなかった。
これはグンマー語と呼ばれる言語だろう。
これは私が栃木の者か、違うかの確認だろうか。
私は生まれも育ちも茨城である。栃木の民と間違われるというのは少し腹が立った。
「私は茨城県民だ。つまり君達のいう所のノントチギだ。」
私の声は震えてはいなかっただろうか。
そんな不安が頭の片隅をよぎる。
なんせ今私は喉元に刃物を突き付けられた状態なのだ。いくら私でも怖いものは怖い。
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