ある冒険家の手記

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「オー。 ノントチギ、イバラキ!! ワレラ、カンゲイ、イバラキ。 イバラキ、テキ、チガウ。 イバラキ、トモダチ!!」 私を囲んでいた一団のリーダーらしき男性がそう言うと、私に突き付けられていた槍は下ろされた。 どうやら私は助かったらしい。 「栃木と何かあるのか?」 私は疑問を口にだした。 その瞬間、周りの男たちの雰囲気が一変した。 殺気というのだろうか、そういうのに詳しくない私でも分かる。足がすくみ、呼吸もマトモにできなかった。 「……トチギ、テキ。 ミツケル、コロス、コロサレル、コロシアイ。」 リーダーが私に言う、正直死ぬかと思ったが、表明を取り繕うと、私はコクンとうなづいた。 そういえばここに来るまでに会った埼玉の人が言っていた。 『グンマーに行くんか。 なら言っておく。キリューとオオタには行くな、あそこは最前線だ。』 『最前線ってなんのです?』 『知らんのか、栃木とグンマーは長年抗争を繰り返しているんだ。一度遠くから見たことがある。 ありゃ地獄だ。』
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