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???「……っ」
遂に彼は男の前にまで来た。いや、来てしまったと言うべきか。
二人の距離は目測で2mもない……。
お互いに、相手の間合いの中だ。先に動いた方が、ほぼ間違いなく相手の懐に潜り込めるだろう。
そして、それは『勝利』を意味する。
……なのに、彼も男も動かない。もちろん、その他の商人達もだ。
……何でかな?何をしているの?
???「一つ、いいか?」
「……何だ?」
あっ、彼が沈黙を破った……っ。
???「その女の子を、解放しろ」
「……ふん。何を言い出すかと思えばそれか。まさかせっかく仕入れた商品を、みすみす手放すとでも?……まぁ、別の商品があれば別だがなぁ?」
……わざと、語尾を上げた?
「……なに、ちょっとした物々交換だ。俺が、お前達の仲間になる。その代わり、その子を放す。これでどうだ?悪い話じゃないだろ?」
えっ……それってつまり、ボクの身代わりになるって事!?
だ……駄目!!それだけは絶対に駄目!!
そう発言しようとして、口を手で圧殺される。
発言さえ、許されない。
ボクに出来るのは詮方なく、物事の成り行きを眺める事だけなのか……っ。
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