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☆
……はい?
ぽかんと開けた口を戻せない。
ちょっと待ってちょっと待って、今この子……何て言ったの?
死神?いやいや、そんなのあり得ないでしょ?
固まったまま私に見つめられ、スィンは慌てたようにぱたぱたと両手を振った。
「ち、違いますっ!に、ニセモノじゃなくて……わたしは本当に死神、ですっ!」
ずいっと身を乗り出して、礼の首にかかっていた鎖に繋がれた銀のカードを私に見せつける。
……確かにそこには彼女の顔写真とさっき言ってたシリアルナンバーみたいなやつとーーデカでかと表示された『死神』の文字が見える。
うーん……でもそれだけで『私は死神です』って言われてもねぇ。
そんな私の考えていた事が伝わったのか、スィンはぷくっと頬を膨らませてむくるてしまった。
「湊さん……疑ってる顔、してます」
「そう言われてもね、逆にそれだけで信じろって言うのはムリがあるでしょ?」
恨みがましそうなスィンに思わず肩をすくめてしまう。
百歩譲ったとしても、ちっちゃなスィンの外見もあってよく手が込んだ学芸会の衣装って風にしか見えないし。
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