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そんな私の視界の隅っこに、スィンが何かを弄っているのが映る。
気になってちらりとそれを見てみると、彼女はかなり不馴れな感じでスマホみたいなモノを操作しているみたいだった。
「えっと、確かここを……こう?んと、それから……ここを、こうして……んんー?」
うんうん唸りながらスマホモドキと格闘する事数分、ようやくスィンは私の方へと液晶から上げた顔を向けた。
「お、お待たせ……しました!それではこれから……始めさせて、いただきますね?」
「始めさせていただきますって……スィン、貴女何を始めるつもりなの?」
私は眉をひそめて彼女に問いかける。
「って言うかまずここはどこで、何で私はここにいるの?そもそも……死神だって言うスィンが私になんの用事?」
その問いかけから堰を切ったみたいに、今までに感じていた疑問が次々と口から溢れ出ていく。
「えっ、えっと?あの……その、」
連続で質問されたせいかスィンは目を白黒させながら、私の顔と手元のスマホモドキを何度も交互に顔を行き来させる。
「あ、あの……湊、さん?」
片手をちょこっと挙げながら、スィンはおずおずと口を開いた。
「えっと……幾つかお訪ねしても、いい……ですか?」
その声と表情は何だか真剣さが増していて、思わず身を引きそうになる。
それでも何とか頷いて、スィンに話を促した。
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