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桜が咲き誇る4月。
私は中学校を卒業して、念願だった私立・津藤学園に入学を果たした。
長く伸ばした黒髪が、風に吹かれてふわりと舞い上がる。
その風に遊ばれるようにして、ひらひらと桜の花弁が舞踊る。
……ヤバイ、自分でもびっくりしちゃうくらい様になってる。
紺色のブレザーがちょっとアレかもしれないけど、それを差し引いても今の私は自画自賛しても仕方ないくらいに完璧なんじゃない?
顔も整ってて、スタイル抜群な容姿端麗過ぎる私がこのロケーションの中を優雅に歩く。
ただそれだけの事で周りの男子達の視線は私に集まるし、先を歩いていた女子ですら私を振り返る。
ふふふ、早くも私の美しさがこの学園の生徒をみんな虜にしてしまうかしら?
そう考えると、自然と顔がにやけてしまうのも仕方ないーー
「……朝から何1人でニヤニヤしてるの?不審者みたいで怖いよ」
……自然とにやけていた頬が引きつるのが分かった。
こんな可愛い私にこんな言葉を投げ付けれる人物を、私は他に知らない。
「ーーって、誰が不審者よ誰がっ!?」
私が振り返ってそう文句を言っても、そこにいた女子ーー槇野 凜夏(まきのりんか)はただ肩をすくめるだけだった。
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