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……誰でもいいから、お願いです。
誰か今私の目の前で起きているこの事態を……どうか説明して下さいませんか?
「それじゃあ……いきますよ?だ、大丈夫です……出来るだけ、痛くないように……しますからーーよいっ……しょっ!」
そんな事をたどたどしく言いながら目の前でその少女は、自分の身長の倍はありそうな巨大な鎌を振り上げた。
鎌の刃はとんでもなく鋭そうで、光を呑み込みそうなくらいに真っ黒でかなり禍々しく見えてしまう。
そんなのでバッサリいかれて、痛くない人とかいるの?
いや、普通に考えている訳がないでしょ!?
「さ迷えるこの魂に……出来るだけ安らかな安寧と、きっと輪廻転生へ向かえる道標を……与えますっ!」
少女はぎゅっと両目を瞑ると、危なっかしい足取りでふらつきながらもーーその闇色の巨大鎌を横なぎに振り払った。
迫り来る刃が、やけに遅く感じた。
頭の中に走馬灯のように……さっきまでの事が浮かんでは消えていった。
☆
目を覚ました私がまず最初に見たのは、真っ白な天井だった。
……って言うよりは私が今いるこの場所は全部が真っ白で、天井も地面も区別が付けられないんだけど。
「何よここ……どうなってるの?」
身体を起こして周りを見渡した……って言うのもちょっと違うかもしれない。
今の私が立っている筈の地面には感覚どころか重力もないみたいで、やけにふわふわとしている。
だから実際のところ私は、立っているのか寝ているのかすらはっきりしていない。
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