プロローグ1:平坂彩音

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 朝から凝った料理はいらない。そもそも、俺ができるのは、肉料理だの野菜炒めだの、家庭料理の範囲だ。文句を言われることもないし必要ないから、これ以上勉強する必要もない。  俺は備え付けの小型冷蔵庫から、賞味期限が今日のパンを取り出し、これまた小さなオーブントースターにぶち込む。それと同時にコンロに火をかけ、フライパンを置いた。  フライパンの加熱をしている間に、テレビをつける。朝の目覚まし時計をキャラクターとした番組では、ちょうど占いのコーナーをやっていた。 “本物の占い”を知る俺は、“偽者の占い”にとんと興味がない。だから、すぐにフライパンの前へと戻った。  あんなの何が面白いんだろう、とため息をつきつつ、目玉焼きを作る。 「……まあ、妥当なところで、トーストセットってところだな」  10分後、焼けたトースター2枚と、目玉焼き2人分が、俺の6畳1間の中央に置いてあるテーブルへと、姿を現した。  ひと仕事やった、とか思い、俺はもう1度外へ。  隣の部屋をノックする。    ほどなくして、早速学生服に着替えた彩音が姿を見せる。 「朝ごはん食べたら、すぐに行くの?」 「どっちでもいいが……彩音はどうする?」 「わたしはそうしよっかなぁ」 「じゃあ俺もそうする」 「いいの?」 「いい」 「やったぁ!」  かくして、朝食を済ませた俺たちは、準備もそこそこに、始業時間の50分以上前に、部屋に鍵をかけることとなった。
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