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「今から学校行くんだよね。一緒に行かない?」
「そうだな。彩音は――」
「もちろんおっけーだよ、真一お兄ちゃん」
「だよな。さて、んじゃ行くとするか」
「では、久しぶりの学校に、しゅっぱーつ!」
「お~!」
天沢が拳を掲げ、彩音が真似をして手を伸ばす。
どこからどう見ても、姉妹な2人だった。
後ろで苦笑いしている俺も含めて、3人かもしれないけど。
アパートから学校までは、歩いて10分。
俺たちが通う高校と、彩音が通う中学校は、もちろん別々のところにある。
歩き始めて5分くらいたった頃、俺たちは、T字路に差し掛かっていた。
彩音はここを右に曲がり、俺たちは真っ直ぐ歩いていく。
「じゃあね、真一お兄ちゃん。また夕方」
「ああ。彩音、はしゃぎすぎて、怪我するなよ」
「大丈夫だよ~。杏奈お姉ちゃんも、またね」
「またね、彩音」
彩音はそのまま、軽快な足取りで駆け出す。
途中1度だけ、彼女は俺たちの方を振り返った、俺も天沢も、手を振って見送ることにした。
……そして、彩音の姿が見えなくなり、俺たちは再び歩き出す。
「あー、もう2学期か。終わってみればあっという間だったね、夏休み」
「そうだな」
「真一は夏休みの間、どんなことした?」
「どんなことって、俺は夏休みの大半を、彩音やお前と一緒に過ごしたのだが」
「それでもほら、私は午前中陸上部だったからさ。朝何してたかな~、って」
「安心しろ。ほとんどがゴロゴロしていただけだ」
「うわ不健全」
「俺は夜行性だからな」
「夜だってメンドイメンドイ言ってるじゃん」
「お前限定でな」
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