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肩に引っ掛けられただけの浅葱色の羽織に、着崩した胸元からわずかに見えるサラシ。
後頭部の高い位置で結われても、背の中程を越える長さを持つ真っ直ぐな黒髪。
日当たりの良い縁側で片膝を立て目を細めながら空を見上げる人物の格好は、別段変わっているわけでも無いというのに、周りの目を惹く。
後姿を一目見ただけで誰だか分かる姿を見つけたのは新撰組副長の土方歳三。
｢和泉｣
｢ん？｣
低いが良く通る土方の声に反応して、空から彼へと目線を移すと、瀬戸和泉は首を僅かに傾げる。
女子禁制である新撰組に、何故女が居るのか。
そう聞かれたら隊士の全員がこう答えるはず。
“瀬戸は別格だ”と。
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