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副長の威厳を常に保っている土方とまるで正反対で、沖田総司は柔らかい雰囲気を纏っている。
しかし、その本性が意外にも腹黒いと知るのは沖田と付き合いが長い者だけ。
門に背中を預けていた沖田は玄関の開いた音に面を上げる。
姿を見せたのが和泉だと分かると、目を輝かして手を振った。
色素の薄い、黒よりも茶に近い細い髪を白い髪紐できっちりと結い上げている美少年で、彼は女に負けず劣らずの整った顔立ちをしている。
また優しげな表情を浮かべる沖田が一番隊組長だ、と言われても外見からは到底信じられない。
刀を抜いて敵を前にすれば沖田も一番隊率いる組長の顔になる。
だが、あいにく普段は大抵甘味と遊び、それも土方に仕掛ける悪戯のことしか考えていない。
「和泉っ!早く行きましょう!」
無邪気に笑い、和泉に駆け寄って手を引っ張る沖田は実は和泉と同い年。
まったく同い年になんて見えないが、その理由はいくらか幼さが残る沖田に比べ、和泉が大人びているからかもしれない。
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