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沖田に続いて暖簾を潜れば、開店当日のせいもあるのか多くの客で賑わっており、かなり繁盛しているようだ。
ちょうど空いた店の一番奥の席に、忙しそうにしている店員に案内される。
「結構繁盛してますね。味が楽しみですっ!」
嬉々とした表情の沖田と向かい合わせになるように腰を掛ける。
店に入った直後、上がった悲鳴に似た歓声と視線を華麗に受け流しながら和泉はお品書きに視線を落とす。
男装すれば和泉だって女受けをするくらいの美貌を持つし、性格に難有りだが沖田だって美少年だ。
まあ直に収まる、目の前の男の注文の数に絶句して。
「すいませーん。みたらし団子と大福。それとお汁粉十個ずつお願いしまーす!」
沖田の注文に店内の音が消え、静まりかえったのは予想どおり。
毎度行きつけの甘味屋で無い限り、このような状況になる。
何度も付き合わされる和泉はもう慣れていちいち驚くことはしない。
余談だが、もし土方がこの場に居たら沖田に言いくるめられて、気付けばお代はすべて彼持ちになっている。
なんだかんだ言い、払ってくれる土方は沖田たちには甘い。
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