0人が本棚に入れています
本棚に追加
薄暗い寝室で俺は気だるそうにベッドの上でうずくまっていた
「…はぁ…はぁ……」
カチャ…パタン
リビングの光が一瞬差し込んで眩しさを感じた俺は、扉の方へ視線をゆっくりと向けた…
「おぃニィ、来てやったぞ。大丈夫か?」
すると聞き覚えのある声と共に、部屋の電気がついて一気に眩しくなった
「テ、テツ…。…だめ……」
やっと目の前の相手が誰なのかがわかりホッとしたのも束の間、次には頭を思いきり振り回された時の様な激しいめまいと息苦しさがよみがえる
「ったく。いつもオレからしか連絡しない一通君のお前が、『助けてぇ』とか言ってくるから何事かと思えば…風邪ちゃんか?」
テツはベッドの端に座り、俺のおでこに手を添えた
「…仕方ないだろ…。今までにない初めての不調だったんだから。さっきまでマジで死にそうだったんだかんな…はぁはぁ」
「はいはい判ったからあんましゃべんなっつの。…熱あんなこりゃ」
頭から手を離し軽く2、3度振り払い、ヨシヨシ…と猫ッ毛の俺の髪を撫でた
その手が優しくて、さっきまでの不安や倦怠感から少しだけ解放された気がして、気づくと俺の目には涙が溜まっていた
それに気づいたテツは一瞬戸惑った表情を見せたが次には目を細めて微笑んだ。
「めい…わくだょ…ね…。ゴメン」
まただ…どうして俺はこんなことしか言えないんだろう……
本当はそんな言葉じゃなくてもっと…もっと……!
テツだってきっと困ってる
最初のコメントを投稿しよう!