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「んーっ、迷惑とかそんなんじゃなくて…」
テツの右手が俺の髪の毛から顔、目元に移り、今にも溢れ出しそうな俺の涙を親指でぬぐいとった
俺はその動作にビクッと反応し、反射的にギュッと目を閉じた
「…ま、でも大したことじゃなくて良かった。だって『助けてぇ』だぞ?マジでバビッた」
俺の顔から手を離し、おどけるようにケラケラ笑った
そんなテツに俺は何となくムッとしてしまった。
「…何だと思った…?」
「怖い兄ちゃん連中に襲われたとか、空き巣に入られたとか…色々」
テツは天井の斜め上を見て指を折りながら思い当たることを口にした
「…悪かったな…ただの風邪で…」
悔しくなって俺はテツから顔を背け、ため息をついた
ここずっと病気とは縁がなくて、自分の身体がどうにかなりそうで、怖くて怖くて…!
誰よりも真っ先に頭に浮かんだのが、テツだった
「いや、だから良かったって言ってんだろ?それに…さ」
そう言うと背けてテツを見ない俺のあごを右手で持ち上げ、顔を近づけてきた
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