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(我ながらいい出来前)
「いやー、相変わらず美味しそうね」
「うおっ!?」
誰もいないはずの部屋で聞こえるはずもない声が後ろから響いてきた。
「……魚?」
「“うお”じゃなくて純粋に驚いただけです!!」
「自慢して言うことでもないけどね」
ウインクの似合う黒髪ポニーの幼なじみは直江 柚葉(なおえ ゆずは)と言う。
そしてこの僕は一色 悠(いっしき ゆう)。
勉強良し、運動良しのハイスペック幼なじみで才色兼備に優れて何よりも喜怒哀楽が激しい。
字の如く、本気で喜び、本気で哀しむ。
良く言えば表情豊か――悪く言えば情緒不安定。
ただでさえ優れているが、ゆずはその才能を幼少に武術のみ注いだ。
柔道、剣道、テコンドー、ボクシングをしていたが、1番長く続けたのが空手である。
だが、それも高校に入学と同時にやめてしまっている。
格闘センスにも優れているので幼なじみの僕としては彼女に逆らおうとは決して思わない。
――だって怖いから。
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