バッドエンドな恋物語

存在しない ≪前≫

｢うん。　ていうか値段は見てないよ。　選んだやつがたまたま安かっただけ｣

嘘だ。

気にしていないつもりだったが、やはり目は値段ばかり見ていた。

｢そっか、ならいいよ♪　スゴいね、これ全部合わせても8000円くらい？　安いね♪｣

と、ここで行也はしばらく口をつぐみ、

｢……この組み合わせはいいと思うけど、靴下とかで色を足したらどうかな？♪｣

オシャレな行也ならではの、弟へのアドバイスである。

｢え？　あ、うん。 わかった。　じゃあ後でお兄ちゃんのと合わせて選ぼうかな｣

｢あ、そっか、３つセット販売だっけ♪｣

その後、行也も服を決め、購入後トイレで二人とも着替えた。

総額は、兄弟合わせても20000円ちょい。

学生にとってはありがたい。