存在しない ≪後≫

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「ど、どうしよう、私、携帯、防水じゃ、ない……はぁ、はぁ…」 息切れしてなお、走り続ける彼女の頭上には、重く鉛色した空が広がり、雲が質量を伴って落ちてくるのではないかと思わせるほどだ。 実際、走る体を撃つ雨はなかなか痛い。 ブラジャーも透けてないか、心配なところである。 「……はぁ、はぁ…よかった、ブラ、着けてきて……」 彼女は普段、ブラジャーは着けない主義のようだ。 乳首が透けないよう、一応シャツの下には白いTシャツ等を着ている。 が、こういう雨の日は傘を忘れると、下のシャツもろとも、無抵抗にその臼桃色の乳首を透かしてしまうのだ。 彼女の名は、枝折栞(シオリシオリ)。 雨の中の下校を疾走する、恋する16歳、高校1年生である。
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