13人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
「ど、どうしよう、私、携帯、防水じゃ、ない……はぁ、はぁ…」
息切れしてなお、走り続ける彼女の頭上には、重く鉛色した空が広がり、雲が質量を伴って落ちてくるのではないかと思わせるほどだ。
実際、走る体を撃つ雨はなかなか痛い。 ブラジャーも透けてないか、心配なところである。
「……はぁ、はぁ…よかった、ブラ、着けてきて……」
彼女は普段、ブラジャーは着けない主義のようだ。
乳首が透けないよう、一応シャツの下には白いTシャツ等を着ている。
が、こういう雨の日は傘を忘れると、下のシャツもろとも、無抵抗にその臼桃色の乳首を透かしてしまうのだ。
彼女の名は、枝折栞(シオリシオリ)。
雨の中の下校を疾走する、恋する16歳、高校1年生である。
最初のコメントを投稿しよう!