明くる明け

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明くる明け

時は午後6時。 夕に呑まれかけているこの国は11月12日。 夕に呑まれまいと光るこの町は残念ながら少し暗い。 その町の丁度中心辺りの小山に25年前に設けられた学校の校門には、「県立坂九楽高等学校」と刻印された石板が埋め込まれ、 夕闇に負けじと灯された街灯の光を受けて鈍く光っている。 その校門からぞろぞろと出てくる生徒、生徒、生徒、たまに一般市民、たまに教師、たまに保護者。 実は、一昨日から今日にかけて、ここ坂九楽高等学校では盛大な文化祭が行われていたのだ。 つまらなそうな顔の者もいれば、楽しそうな顔の者もおり、疲れた顔の者もいる。 つまらなかったのだろう。 楽しかったのだろう。 出店などの店番や調理で疲れたのだろう。 見られる表情は十人十色、しかし4割は疲れたような顔だろうか。
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