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桑島くんは店長に呼ばれて個室に行ってしまった
「やばい…やばいよ智恵!奈々、桑島くん好きかも。どーしよーっ」
姿が見えなくなった途端噛み付いてくるように話す奈々
「あれ工業の制服だよね?タバコの匂いしたし、やっぱ悪なのかな?奈々はちょい悪のが好きだからめっちゃイイ!」
顔が微かに火照った奈々を見てどこか苦しい気持ちと焦りがあった
奈々はいつもこんな感じだ。
気になる男性が出来るとすぐにはしゃぐ
でも大概はすぐに対象が代わる代わるだから聞き流してる
なのに今回ばかりは奈々の言葉が苦しい
「智恵のタイプ…ではないよねぇ…良かった!奈々、智恵とは喧嘩したくないし!応援してよね!」
「うん…」
嘘つきだ
奈々に嘘なんかついたこと一度もない
高校が一緒で、同じバイト始めて
一年…
ずっと仲良くしてきた。
お互いに親友だとも言った
その親友の幸せを願うのが親友の務めだよね…
そのあとも桑島くんが個室から出てくるのを奈々ははしゃぎながら待っていた。
私は用事があると言って先に帰ってきた
「病は気から。病は気から。」
意味は違くとも自分に言い聞かせるためには都合のよい言葉
なにをこんなに焦ってるのだろうか
今はまだその答えはわからない…
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