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「ただいま・・・」
重いドアを開けて リビングに行くと母・・・
ううん お父さんの奥さんが キッチンで がちゃがちゃと音を立てながら奮闘している
「ただいま」 その必死な姿に 小さく声をかけると
ボールから泡立て器を離し 「美樹ちゃん おかえり~」 と 歳に似合わない可愛いらしい声が響く
「今日子さん なに 作ってるの?」
「おいしい おいしいつくってるんだよ」
リビングで テレビにうつるキャラクターの真似をしながら 弟が答える
弟は いま五歳
お父さんが再婚する時に今日子さんとセットで家にやってきた
まあ その時は 今日子さんの "おなか″に隠れていたので 姿は見えてなかったけど
それでも お姉さんぶりたい年頃に生まれてきた赤ちゃんは 母は違えど 私の立派な弟くんであり
時に わがままでムカつくこともあるけれど なんだかんだ 可愛くて仕方ない
「そっか おいしい おいしいは楽しみだけど お父さん 帰る前に おいしい夕飯も出来てないと やばくない?」
「あー だよねー!! 早く 作っちゃうね!」
今日子さんは また さっきより 慌てて がちゃがちゃと音を立てながら さっきの続きを始める
仕方ない 私も手伝うかな と思ったら 携帯がなる
(着信だ)
「ごめん 今日子さん 後で 手伝う」
慌てて 部屋に入り 電話をとる
「っ もしもし」
「美樹 大丈夫?いま忙しい?」
「全然 大丈夫です どうしたんですか?こんな時間に」
「いま 車で 移動中なんだけど 急に 美樹の声 聞きたくなってさ」
「え~ 本当ですか~」
相手に 今の私の表情なんて見えっこないけど すごい顔が赤くなってしまい 恥ずかしい
「美樹は わかりやすいな~
そんなとこも 好きだけどね」
ただ 携帯から あの人の声が聞こえる
それだけで 私は幸せな気持ちになれる
ー今日 やっぱり マック行かないで正解だったなー
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