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ただいま
居間に行くと もう いい感じに 酔っ払ったお父さんが 私を睨みつける
「お前 まだ学生のくせに こんな時間に帰ってくるなんて どういうことだ」
「こんな時間って まだ7時だよ
部活の日は もっと 遅いときだってあるじゃん!」
「なにが部活だ 女のくせに 運動ばっかり頑張ってなんになる
女なんてのはな 立派な家に嫁に行って 賢い子供を生んで いい 後継ぎに育てればそれでいいんだよ 運動なんて 頑張ってなんになる」
しゃべりながらも
お父さんは 焼酎のお代わりをジェスチャーで頼み
お母さんが黙って 梅割りを作り お父さんに渡す
それを受け取ると一気に半分以上飲みほし
げぇふ
わざとじゃないか ってくらい 汚いゲップをする
つい 嫌な顔をした私を見逃さなかったのか バンッ
すごい衝撃が頭に走る
あれっ・・・
なにか口に溜まる
血の味がする
鼻血だ・・・
「早く 2階に部屋に行きなさい」
お母さんが ティッシュを箱ごと私 小さい声で言う
私は ティッシュの箱を落とした鞄と一緒に部屋に戻る
「まったく あれは 誰に似たんだか 生意気な女だ
あの 去年 遊びに来た あの 同級生のあの子 名前 なんだっけ?」
ボソボソ お母さんがなにか低い声で言う
「そうだ そうだ! かなちゃんか
あの子くらい 容姿も頭も良けりゃあ 博も自慢の姉ちゃんだったのにな
残念だったな~ 博」
「別に・・・・」
「なんだ 博 もう部屋に行くのか?
つまみ 食っていいんだぞ
お前 刺身好きだろ?」
「いらない・・・」
こんな 狭いアパートだから 自分の部屋にいても 酔っ払ったお父さんの声は 聞こえてしまう
耳を塞ぎたいとこだけど 塞いだとこで 意味がない
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