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「姉ちゃん?」
鼻血も 涙も 止まりかけた頃 部屋の向こうから博の声が聞こえた
「はいんなよ」
思いっきり 鼻につめたティッシュを抜き
もう垂れないことを確認していると
そっと 部屋のふすまが開いた
「姉ちゃん 大丈夫?」
「うん 大丈夫
ちょっと びびったけどね」そう言って 大袈裟に
あははと笑うと 博は本当に悲しい顔で
「姉ちゃん ごめんな 俺も 母ちゃんも 姉ちゃん かばえなくて」といい 私を見て涙ぐむ
「俺の中学 いまだに 姉ちゃん達が全国大会に行ったときの写真 職員室の前に飾ってあるんだぜ」
「あー 懐かしい~ 私が キャプテンだった頃のだね」
「うん クラスの女バスのやつなんてさ 姉ちゃんに しごきに来て下さい!って 頼んでくれとか言うんだぜ」
博が、ちょっと 明るい顔に戻る
「そうか~ 懐かしいな~
今度 中学 遊びに行こうかな
まだ 田中先生 いる?」
「いるいる!!」
「相変わらず あの喋りかた?」
「うん あ~ 君達~ バスケットボールは~ 身体に~ 当たると~ 」
「あはは 上手い!似てる!似てる!
懐かしいな 今度 遊びに行くよ」
「うん 姉ちゃんは 本当 スポーツ万能で格好いいよ」
「・・・・ ありがとう」
「父ちゃんはさ 頑固じじいだから 気にすんな!
姉ちゃんは 格好いいよ!」
「博・・・ 姉ちゃん 格好いいより 綺麗~ とか 可愛い~ って 言われたい・・・」
「・・・ 俺 部屋に帰るわ」
「え そんな」 わざとふざけて 悲しそうに言うと
博は 振り返り
「姉ちゃん 体育祭 また リレーだろ? 頑張ってな」 と言って 静かに ふすまを閉めた
弟に 心配かけちゃ 姉失格だな
気合い入れてこ!
とりあえず 顔を洗って・・・
ご飯 食べなきゃ!!
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