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兵庫県明石市。
そこが僕らの住む街。
ほどほどの田舎で、そこそこ開発されたその街で、僕らは15年間を共に暮らしてきた。
総合選抜制なんていう、有難迷惑な高校入試のシステムにも負けず、奇跡的に同じ高校に入学した。
兵庫県立明石東高校。
ここで僕らは変わらず2人で、3年間を過ごすはずだったんだ。
同じクラスにはなれなかったけど、隣のクラスで。体育と選択科目は一緒。
来年こそは同じクラスになれるといいな、なんて会話を交してたのに。
君は、いない。
僕らいつも。
そう、15年前の無意識の出逢いから、ずっと傍にお互いの存在があったのに。
これから先も、そうあると信じていたのに。
「……どう、して……」
誓いを交すには幼すぎたの?
「……うそ、だ……」
約束を守るには存在が遠すぎたの?
「………………嘘だって、言って……」
涙が出たのは、君が好きだったから。
「……おれ、は……」
そんなにも、オレは、遠かった?
「…………だいすきだよ……」
そう。オレは今でも君が好き。
お願いだから、前と同じように。
オレを見て。
頼むから、前みたいに。
オレの隣で笑って。
オレの、傍で。
君がいつも呼んでいたように。
優しくて柔らかい。
あの声で、オレを呼んでよ。
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