act.5

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 お互いの部屋から、お互いの家が丸見え。  洗濯物も、宅急便も。  だから、そういうものなら見慣れていたけれど。 「…………ふぅん……」  ああいうのは、初めて見るから。  だから、こんなに胸がざわざわするんだ。  *****  学生にとって嬉しくないものを3つ挙げるとしたら、宿題とテストと通知表だろう。  微妙な成績の並んだ通知表を、適当に鞄の中に放り込む。 「いいかー。学校に置いといていいのは体育館シューズだけやからな。教科書とかはちゃんと持って帰れよ。置いて帰ったら焼却処分するからなー」  教師の声に方々から非難の声が挙がるけれど、その言葉はさらりと無視されて 「じゃあ、また2学期にな。──解散」  あっさりしたシメの言葉に、教室が色めきだった。  これでとりあえず1ヶ月半は自由の身である。  うきうきとわくわくが混ざる胸の中に、宿題なんて言葉は奥の方にしまい込まれている。 「じゃあヒロ。また遊ぼうな!」 「絶対やで」 「ん。部活頑張れよ」 「おぅ、ありがとうな」  手を振って見送られて、軽い足取りで教室を出れば 「明」 「ゆうと。待った?」 「いや?」 「んじゃ帰ろっか」  廊下で待っていた結人と玄関に向かった。
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